親の家を売るべき？施設入所や相続後の売却方法・流れ・注意点を解説！

「親が施設に入ったら家はどうするの？」

「親の家を相続したけど売った方が良いの？」

親の家を売る理由には、維持費や税金の負担を軽減するための売却や、思い出の詰まった家をどうするか迷う方も多いのではないでしょうか。

親の家を売るメリットは、固定資産税や維持費の負担が無くなることです。

しかし、売却にともなう税金や費用が発生するデメリットもあります。

それぞれのポイントを理解して、親の家を売る判断をすることが大切です。

本記事では、親の家を売却するメリットとデメリット、具体的な手順、費用や注意すべきポイント、よくある質問にお答えしています。

この記事を読むことで、売却に向けた判断材料や準備方法が明確になり、安心して売却手続きを進めることができるでしょう。

施設入所や相続後の親の家は売るべき？

親が施設に入所する場合や相続後の家を売却するかの判断をするには、家の維持にかかる費用や今後の生活設計を考えることが重要です。

固定資産税や修繕費が家計に大きな負担となる場合、売却することをおすすめします。

また、相続後に家を売却することで現金化し、兄弟間で公平に分配することも可能です。

一方で、売却しない場合は固定資産として所有し続ける選択もあります。

親族や知人が利用する予定がある場合や、不動産の価値が上昇しているエリアであれば、売却を急ぐ必要はなくタイミングを見て売却することで、手元に残るお金が多い場合があります。

ただし、維持費や管理負担が続くため、長期的な計画を立てることが必要です。

そのため最終的な親の家を売るかの判断は、経済的側面と感情的な要素のバランスを見極めることが大切です。

施設入所や相続した親の家は売った方が良い？メリットとデメリットを解説

親が施設に入所した場合や、相続した家を売却をするかは、経済的な側面や家族の事情によって異なります。

ここでは、売却のメリットとデメリットを解説します。

親の家を売るメリットは固定資産税や維持費の負担がなくなること

親の家を売却する最大のメリットは、維持費や固定資産税の負担を軽減できる点です。

空き家を所有し続ける場合、年々増加する維持管理費や劣化のリスクに対応する必要があります。

特に古い家屋の場合、定期的な修繕が必要になるためコストがかさみます。

売却することで、こうした出費をなくし、得た資金を他の用途に活用できることが大きな利点です。

さらに、相続した家を売却することで現金化し、兄弟間で公平に分配することも容易になります。

また、不動産の価値が下がる前に売却することで、資産を効率的に運用する選択肢を広げることが可能です。

親の家を売るデメリットは売却に伴う税金や費用が発生すること

一方で、家を売却する際には税金や手数料などのコストが発生します。

主なものとして、譲渡所得税や不動産仲介手数料があります。

特に、相続した家を売却する場合、取得費が不明瞭だと税金が高額になるリスクがあるため注意が必要です。

また、売却活動自体に時間と労力がかかる点もデメリットとして挙げられます。

施設入所や相続した親の家を売る方法

親の家を売る方法は大きく分けて5つあります。

目的や状況に応じて適した方法を選択しましょう。

不動産会社を通じて一般の買主を探す方法

親の家を売却する一般的な方法は、不動産会社に仲介を依頼することです。

この方法では、不動産会社が市場での価格調査や買主の募集を行います。

買主が見つかると、契約内容を交渉して売買を進めていきます。

仲介手数料が発生するものの、買主の選定から契約までのサポートが受けられるため、初めての売却でも安心して進めることができます。

ただし、売却に時間がかかることもあるため、急いで現金化したい場合には他の方法を検討する必要があります。

そのため、不動産会社を選ぶ際は、信頼できる業者を選び、査定価格が市場相場と一致しているかを確認することが重要です。

不動産会社への直接買取をお願いする方法

直接買取は、不動産会社が買主となる売却方法です。

この場合、市場に出回る前に迅速に現金化できるのが最大のメリットです。

特に、早急に資金を必要とする場合や、物件の状態があまり良くない場合に適した方法です。

ただし、通常の市場価格よりも売却価格が低くなる傾向があるため、その点を理解した上で進めることが求められます。

築年数が古い物件なら空き家買取サービスを利用する方法

築年数が古い家や空き家として長期間放置されている家を売却する場合、空き家買取サービスを活用するのも一つの方法です。

このサービスは、不動産会社や専門業者が古い物件を買取り、その後リノベーションや再販を行う仕組みです。

空き家状態で需要が低い物件でも買い取ってもらえる可能性が高く、迅速に現金化したい場合にも有効です。

特に、古い物件は修繕費や維持費が負担になるため、早期に手放すことで長期的なコストを削減できます。

ただし、買取価格は一般的に市場価格よりも低く設定されることが多いため、価格面で納得できるか慎重に検討することが必要です。

事前に複数の業者から査定を受け、最適な買取条件を探ることが成功のポイントです。

オークション（競売）形式を通じて売却する方法

親の家を競売形式で売却する方法もあります。

オークションを利用することで、複数の買主が競り合い、予想以上の価格で売却できる可能性があります。

特に、不動産取引におけるニッチな市場や希少価値の高い物件に適した手法です。

競売はオンラインで行われる場合も多く、手軽に参加できるのが特徴です。

一方で、競売にはリスクも伴います。

買主が集まらなければ希望価格に達しない場合があることや、契約条件が一般の売買と異なるため、注意が必要です。

競売を利用する際は、信頼できる業者を選び、売却条件を事前に明確にしておくことが大切です。

また、売却期間が短期間である点もメリットとして挙げられます。

リースバックで現金化し急ぎの資金を調達する方法

リースバックとは、家を売却した後も自分や家族が住み続けられる仕組みです。

この方法では、家を買い取った業者や投資家に賃貸料を支払いながら住居を維持します。

親が高齢で施設に入るのではなく、家に住み続けたい場合や急な資金調達が必要な場合に非常に便利な選択肢です。

リースバックのメリットは、住み慣れた環境を変えずに資金を手に入れられる点です。

しかし、賃料の負担が継続することや、買い戻しオプションがない場合もあるため、契約内容を慎重に確認する必要があります。

リースバックを検討する際は、契約条件が将来的に負担にならないよう、専門家に相談することをおすすめします。

親族や知人に家を売却する方法

親の家を親族や知人に売却する方法も検討に値します。

この方法は、信頼関係があるためトラブルが起きにくく、売却手続きがスムーズに進む可能性が高いのが利点です。

また、家の維持や管理が他人ではなく親しい人に引き継がれるため、感情的にも安心感を得られるケースが多いです。

ただし、親族や知人間での売買には、市場価格と大きくかけ離れた価格での取引が行われやすいため、税務上の問題が発生する可能性があります。

適正価格を基準に売買を行うことが重要です。

また、取引後にトラブルが生じないよう、契約書をしっかりと作成し、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

親の家を売る際の具体的な手順を解説

親の家を売るには、いくつかの手順を踏む必要があります。

ここでは、それぞれの段階で注意すべき点を整理していきます。

参考：国土交通省│不動産取引の流れ

親の家を売るために必要な書類を準備する

親の家を売却する際に、最初に行うべきことは必要な書類の準備です。

主な必要書類には、登記簿謄本や固定資産税納税通知書、不動産の権利証（登記識別情報）が含まれます。

また、相続に関する物件の場合は、遺産分割協議書や戸籍謄本などが必要になる場合もあります。

これらの書類が揃っていないと、売却手続きが遅れる原因となるため、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。

不動産会社に相談すれば、必要書類の詳細についてアドバイスを受けられるので、迷った場合は専門家に相談してください。

家財整理と不用品を処分し清掃を行う

親の家を売却する際は、家財整理と不用品の処分が不可欠です。

購入希望者にとって魅力的な物件に見せるため、部屋の中をスッキリさせておくことが重要です。

不用品が多い場合は、不用品回収業者やリサイクルショップを活用すると効率的に処分が進められます。

また、清掃を徹底することで、内覧時に良い印象を与えることができます。

特に、キッチンやバスルーム、床や壁の汚れなどは重点的に清掃しましょう。

築年数が古い物件の場合、ハウスクリーニングサービスを利用するのも一つの方法です。

整理整頓と清掃が整った状態であれば、売却活動がスムーズに進む可能性が高まります。

不動産会社に査定を依頼する

売却を始める前に、不動産会社に査定を受けることで物件の市場価値を把握し、適正価格での売却を目指すことができます。

査定は無料で行っている不動産会社が多く、複数の業者に依頼して比較するのがおすすめです。

査定価格には、売却時期や地域の不動産市場の動向、物件の状態が反映されます。

不動産会社を選ぶ際は、価格だけでなく、担当者の対応や実績、口コミなども参考にしましょう。

信頼できる会社を見つけることで、売却活動を円滑に進めることが可能です。

売却方法を決めて契約を結ぶ

査定結果をもとに、売却方法を選択します。

不動産仲介を通じて一般の買主を探すのか、不動産会社への直接買取や空き家買取サービスを利用するのかを決めます。

それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、状況に応じて適切な手段を選びましょう。

方法	メリット	デメリット
不動産仲介を通じて一般の買主を探す	・市場価格に近い価格で売却できる可能性が高い。 ・買主の選択肢が広がるため、交渉次第で高値売却が期待できる。 ・物件の競争力を活かせる。	・売却までに時間がかかる場合がある。 ・内覧や広告活動に伴う準備が必要。 ・売却が確定するまで不透明な部分が多い。
不動産会社への直接買取	・売却が迅速に行えるため、急ぎの場合に便利。 ・内覧や広告活動が不要で手間が少ない。 ・買主を探す手間がない。	・一般的に市場価格よりも低い価格になる。 ・交渉余地が少なく、提示された金額での売却が基本。
空き家買取サービスを利用	・空き家や問題物件でもスムーズに売却できる。 ・修繕や清掃が不要な場合が多い。 ・税金や法律の専門家が対応するため安心感がある。	・買取価格が市場価格よりもさらに低くなることが多い。 ・特定の地域や物件にしか対応しない場合がある。

売却方法を決めたら、不動産会社と媒介契約を結びます。

この契約は、売却活動を正式に開始するための重要な手続きです。

媒介契約には「専任媒介」「一般媒介」などの種類があり、売却活動の進め方が異なるため、以下の内容をしっかりと確認して納得した上で契約を結びましょう。

契約種類	概要	メリット	デメリット
専属専任媒介契約	1社にのみ依頼し、売主は自分で買主を見つけられない契約。	・業者が積極的に売却活動を行う。 ・手間が少なく、業者任せにできる。 ・売却の進捗状況を定期的に把握できる。	・他の業者への依頼ができず、売却機会が限定される。 ・自分で買主を見つけても仲介手数料が必要。
専任媒介契約	1社にのみ依頼し、売主は自分で買主を見つけられる契約。	・業者が積極的に売却活動を行う。 ・売主自身で買主を見つけられる自由度がある。 ・手間が少なく、進捗状況を把握しやすい。	・他の業者への依頼ができず、売却機会が限定される。
一般媒介契約	複数の業者に依頼し、売主も自分で買主を見つけられる契約。	・複数の業者に依頼できるため、売却機会が広がる。 ・自分で買主を見つけた場合も手数料不要。	・業者が積極的に売却活動を行わない場合がある。 ・売却活動の進捗を把握しづらい。 ・売却時の調整が煩雑になる可能性がある。

買い手を見つけて売買契約を締結する

売却活動の結果、買い手が見つかれば、売買契約を結ぶ段階に進みます。

まずは、契約条件や引き渡し時期、価格などを交渉し、双方が納得した上で正式な契約書を作成します。

契約書には、物件の状況や引き渡しに関する詳細が記載されるため、内容を十分に確認しておくことが重要です。

売買契約が締結されたら、手付金の受領や引き渡し準備を進めます。

契約後にトラブルを防ぐためにも、契約書の内容を法的に問題がないか専門家に確認してもらうと安心です。

また、引き渡し時には登記手続きも必要となるため、不動産会社や司法書士と連携してスムーズに進めましょう。

親の家を売る際に注意するべきポイント

親の家を売却する際には、以下の注意点があります。

これらを事前に把握しておくことで、トラブルを未然に防ぎ、売却をスムーズに進めることができます。

共有名義での相続の場合は他の共有者の同意無いと売却できない

親の家が共有名義で相続されている場合、売却には共有者全員の同意が必要です。

一人でも反対する共有者がいると売却を進めることができないため、事前に話し合いを行い、合意を得ることが重要です。

特に、共有者間で意見が分かれやすいケースでは、専門家のサポートを受けることを検討してください。

また、共有名義の家を売却する場合、共有持分を分けた形で売却する方法もありますが、買い手が見つかりにくい可能性があるため慎重に検討する必要があります。

共有者全員の同意を得るために、明確な売却目的や条件を説明することが解決のカギとなります。

契約不適合責任による追加費用の請求や契約解除のリスクがある

親の家を売却する際には、契約不適合責任について理解しておくことが重要です。

これは、売却後に買主が物件の欠陥を発見した場合、売主が補修費用や損害賠償金を負担しなければならない可能性があります。

例えば、シロアリの被害や雨漏りなどが契約時に明示されていなかった場合、契約解除や追加費用の請求を受けるリスクがあります。

このリスクを回避するためには、事前に物件の状態をしっかりと確認し、必要であれば専門家によるインスペクション（住宅診断）を受けることが有効です。

また、買主との契約時には、物件の状態を正確に伝えることが重要です。

不動産会社の担当者とも相談し、問題が予測される場合はその対応策を事前に講じておきましょう。

空き家になり劣化が進む前に売却を進める

親の家が空き家になった場合、劣化が進む前に売却を進めることが推奨されます。

空き家は定期的な管理がされていないと、湿気や害虫の被害が増し、建物の価値が下がる可能性があります。

特に、築年数が古い物件ほど劣化のスピードが速くなるため、早めに売却を決断することが重要です。

さらに、空き家は周辺環境にも影響を与えやすく、放置することで近隣住民から苦情を受けるケースもあります。

こうした問題を避けるためには、定期的に清掃やメンテナンスを行いながら、できるだけ早く売却活動を開始することが必要です。

不動産会社に早期相談することで、スムーズに売却を進める手助けが得られます。

参考：国土交通省│空き家を放置するリスク

高すぎる査定価格を提示する業者は警戒する

売却を依頼する不動産会社を選ぶ際、高すぎる査定価格を提示する業者には注意が必要です。

過剰に高い価格は魅力的に思えますが、実際には売却が進まない可能性があります。

売却が長引くと、価格を下げざるを得なくなることも多く、結果的に売却時期が遅れる原因となります。

適正価格を把握するためには、複数の不動産会社に査定を依頼し、価格の妥当性を比較することが大切です。

また、査定価格だけでなく、担当者の説明や対応の丁寧さ、売却実績なども判断材料に加えましょう。

信頼できる業者を選ぶことで、スムーズかつ適正な価格での売却が実現します。

親の家を売る時のよくある質問

親の家を売却する際には、税金や手続きに関する疑問が多く寄せられます。

ここでは、よくある質問とその回答をわかりやすく解説します。

まとめ

親の家を売ることは、経済的、感情的な多くの側面を伴います。

本記事では、売却すべきタイミングや注意点、具体的な手順、さらには売却に伴う費用や方法について解説しました。

親の家を売却する際には、不動産会社や専門家のサポートを受けることで、よりスムーズに進めることが可能です。

適切な売却方法や注意点を理解し、家族間での合意を大切にしながら進めることが重要です。

売却活動を通じて得た資金は、親や家族の新たな生活を支える大切な財源となります。

この記事が、親の家の売却を検討する方々にとって、実用的なガイドとなれば幸いです。