空き家の売却に関心があるけれど、どのように進めればよいかわからない方も多いのではないでしょうか?
空き家を放置すると、固定資産税や維持費の負担がかさむだけでなく、倒壊や犯罪利用といったリスクも高まります。
一方、適切に売却することで経済的な負担を解消し、新たな資金を得ることができます。
本記事では、空き家の売却方法や流れ、必要な費用や税金、注意点について詳しく解説します。
\空き家の売却を検討している方へ/
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空き家を売却する方法は?メリットやデメリットを紹介
空き家を売却する方法は、大きく4つの選択肢があります。
- そのままの状態で売却
- 解体して土地のみを売却
- リフォームしてから売却
- 不動産業者に買取依頼をする
たとえば、築年数が浅い物件はそのまま売却しても十分高値が期待できますが、老朽化が進んでいる場合は解体やリフォームが必要になることがあります。
また、迅速に売却を進めたい場合は不動産業者に買取依頼をする方法が適しています。
以下で、それぞれの方法のメリットとデメリットを詳しく解説します。
そのままの状態で売却する
メリット | デメリット |
---|---|
・早期に売却活動を開始できる | ・リフォームや解体の手間・費用が不要・売却価格が低くなる可能性がある | ・老朽化した物件は売却が難航
空き家をそのまま売却する方法は、手間がかからず、リフォームや解体の費用が不要である点が最大のメリットです。
特に築年数が浅く、建物が良好な状態である場合、この方法はスムーズな売却につながる可能性があります。
ただし、老朽化が進んでいる場合や買い手の好みに合わない間取りの場合、売却まで時間がかかることも考えられます。
また、購入希望者が内覧した際に、手直しが必要と判断されると交渉の余地が生まれ、結果として売却価格が下がる可能性もあります。
解体して土地のみを売却する
メリット | デメリット |
---|---|
・買い手の幅が広がる | ・土地としての需要が高まる・手続きに時間がかかる | ・解体費用が発生
建物を解体して土地として売却する方法は、特に土地の需要が高いエリアや老朽化物件に有効です。
新築用地を探している買い手にとって魅力的で、売却の可能性が高まります。
ただし、解体費用が発生するため、売却価格と解体費用のバランスを見極める必要があります。また、解体に伴う手続きや税金が発生することにも注意が必要です。
リフォームしてから売却する
メリット | デメリット |
---|---|
・内覧時の印象が良くなる | ・物件の魅力が向上し、高値での売却が期待できる・リフォームに時間がかかる | ・費用を回収できない可能性がある
リフォームしてから売却する方法は、物件の価値を高め、売却価格を向上させることが目的です。
特に築年数が古い物件や外観が傷んでいる場合、リフォームによって購入希望者への印象を良くすることができます。
ただし、過剰なリフォームは費用が回収できない可能性があるため、必要最低限のリフォームに留めることがポイントです。
購入希望者のニーズを事前に調査し、売却につながる改修を行いましょう。
不動産業者に買取依頼をする
メリット | デメリット |
---|---|
・広告や内覧の手間が不要 | ・売却が迅速で現金化がスムーズ・交渉の余地が少ない | ・市場価格よりも低い売却価格になる可能性が高い
不動産業者に直接買取を依頼する方法は、迅速に売却を進めたい場合に適しています。
仲介を挟まないため、広告や内覧対応の準備が不要であり、短期間で現金化できる点が大きな魅力です。
ただし、一般的に市場価格よりも低い金額で売却されることが多いため、高値を狙う方には適していません。
売却を急ぐ必要がある場合や、条件交渉を避けたい場合に有効な方法です。
空き家売却の流れ
空き家を売却するためには、事前の準備から契約、引き渡しまでの手順を正確に進めることが重要です。
- 査定依頼:複数の不動産会社に依頼し、査定額を比較します
- 仲介会社選定:信頼性や実績を考慮して選びます
- 売却価格決定:不動産会社のアドバイスを参考に慎重に決定します
- 買主との交渉:値引き交渉に柔軟に対応しつつ、希望価格での売却を目指します
- 契約・引き渡し:不動産会社の指導のもと、契約書作成と引き渡しを行います
売却活動をスムーズに進めるためには、査定から始まり、仲介会社選び、売却価格の設定、買主との交渉、契約の締結、そして引き渡しという流れを把握する必要があります。
それぞれのステップでの注意点を押さえ、トラブルを防ぐことで、より満足度の高い売却を実現できます。
以下では、各段階でのポイントを詳しく解説します。
複数の不動産会社に依頼し査定額を比較する
空き家の適正な売却価格を知るためには、複数の不動産会社に査定を依頼し、比較することが必要です。
- 複数社の査定を比較して適正価格を把握する
- 査定額が市場価格に合っているか確認する
- 対応が良い会社を選ぶ基準を設ける
一括査定サイトを活用すれば、複数の不動産会社から簡単に見積もりを取得できます。
査定額だけでなく、各社の対応や担当者の提案内容を確認することで、信頼できる仲介会社を選ぶ基準を作ることができます。
査定は通常無料で行えるため、複数社に依頼することをためらわずに進めましょう。
査定額・信頼性・実績を比較して仲介会社を選ぶ
仲介会社を選ぶ際は、査定額だけでなく、会社の信頼性や実績を重視することが大切です。
- 査定額
- 会社の実績や口コミ
- 担当者の対応力
査定額が高い会社が必ずしも良いとは限らないため、過去の取引事例や口コミを確認し、担当者が売却の流れを丁寧に説明してくれるかどうかを基準に選びましょう。
また、契約内容や仲介手数料が適正かどうかも事前に確認し、不明点は納得するまで相談することが重要です。
市場動向を考慮して売却価格を決める
売却価格の設定は、市場動向を踏まえた適正価格を意識することが重要です。
不動産会社から提案された査定額を参考に、地域の相場や近隣物件の売却価格もリサーチして決めましょう。
高すぎる価格設定は売却期間が長引く原因となり、低すぎる価格設定は損失につながります。
適正価格を見極めるために、不動産会社としっかり相談することが必要です。
参考:建設産業・不動産業:企業の土地取引動向調査|国土交通省
参考:RESAS|地域経済分析システム
売却活動開始を開始する
売却活動のスタートは、不動産会社と契約を締結してから始まります。
広告の作成や物件情報の公開、内覧対応などを通じて買い手を探します。
売主としては、物件を清潔に保ち、購入希望者に良い印象を与えることが大切です。
内覧時には丁寧な対応を心がけ、購入希望者が気になるポイントにはしっかりと答えるようにしましょう。
買主との交渉を行う
買主が現れたら、価格や条件について交渉を進めます。
交渉では、売主としての希望条件を明確にしながら、買主の要望も考慮することが求められます。
価格だけでなく、引き渡し時期や契約内容についても話し合いを重ね、双方が納得できる条件で合意を目指します。
不動産会社のアドバイスを活用することで、交渉をスムーズに進めることができます。
売買契約を締結する
売買契約では、購入希望者との合意内容を正式に書面化します。
契約書には価格や引き渡し時期、物件の状態に関する条件が記載されます。
売主としては、内容を十分に確認し、不明点があれば契約前に解消することが重要です。
また、契約時には印紙税が必要となるため、事前に準備を整えておきましょう。
最終的な残金受領と鍵の引き渡しを行う
最後のステップとして、買主から残金を受領し、鍵を引き渡します。
この際、不動産会社が手続きをサポートする場合が多いので、事前に流れを確認しておきましょう。
また、必要書類や物件に関する説明を準備し、スムーズな引き渡しを心がけることが大切です。
これで売却手続きが完了し、正式に物件が引き渡されます。
空き家を売却する際にかかる費用・税金ついて
空き家を売却する際には、売却活動や契約に伴ってさまざまな費用や税金が発生します。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 抵当権抹消登記費用
- 解体費用
主に発生するのは「仲介手数料」「印紙税」「抵当権抹消登記費用」「解体費用」などです。
これらの費用は、売却の方法や物件の状態によって異なり、売却価格に影響を与える可能性もあります。
そのため、事前にどのような費用が発生するかを正確に把握し、売却計画を立てることが大切です。
以下では、各費用の内容や注意点を詳しく解説します。
仲介手数料
仲介手数料は、不動産会社に仲介業務を依頼した際に発生する費用です。
法律で上限額が定められており、売却価格が400万円以上の場合、手数料は「売却価格の3%+6万円+消費税」となります。
たとえば、売却価格が1,000万円の場合、仲介手数料は約39万6,000円(税込)となります。
この費用は、売却が成功した場合のみ支払う成功報酬型が一般的です。不動産会社を選ぶ際は、手数料が適正かどうかを確認することが重要です。
参考:建設産業・不動産業:<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ|国土交通省
参考:賃貸用の土地建物を購入した際に支払った仲介手数料の取扱いについて|国税庁
印紙税
印紙税は、売買契約書に貼付する収入印紙にかかる税金です。
契約書に記載された金額によって税額が決まり、たとえば売却価格が1,000万円の場合は1万円の印紙税が必要です。
契約金額 | 印紙税額 |
---|---|
500万円超~1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 3万円 |
この税金は法律で義務付けられており、支払わない場合はペナルティが課される可能性があります。
印紙税は契約締結時に発生するため、事前に必要額を確認し、準備しておくことが大切です。
参考:印紙税の手引|国税庁
参考:印紙税|国税庁
抵当権抹消登記費用
抵当権抹消登記費用は、物件に設定されている抵当権を解除する際にかかる費用です。
この手続きは司法書士に依頼することが一般的で、報酬として約1万5,000円~3万円程度が発生します。
- 司法書士報酬: 約1万5,000円~3万円
- 登録免許税: 不動産1件につき1,000円
また、登録免許税として不動産1件につき1,000円が必要です。
抵当権が設定されたままでは売却が進められないため、売却前に必ず抹消手続きを行う必要があります。
解体費用
解体費用は、建物を解体して土地として売却する場合に発生します。
この費用は、建物の構造や広さ、地域によって異なりますが、30坪の住宅の場合、約120万~200万円が相場です。
- 木造住宅(30坪の場合):約120万~150万円
- 鉄筋コンクリート(30坪の場合):約200万~300万円
また、解体後には建物滅失登記の手続きが必要になるため、別途司法書士報酬が発生する場合もあります。
解体費用は高額になりやすいため、売却後に費用を回収できるかどうかを事前に検討することが大切です。
空き家を放置した場合にかかる税金
空き家を放置すると、固定資産税や都市計画税が引き続き発生し、さらに「特定空き家」に指定されると税負担が増加する可能性があります。
これらの税金は、所有している限り毎年支払う必要があり、空き家の管理状況によっては軽減措置が適用されない場合もあります。
また、管理が行き届かない空き家は地域の景観を損ねることから、自治体による監視対象となりやすくなります。
放置によるリスクを理解し、適切な対応を取ることが重要です。
固定資産税
固定資産税は、土地や建物を所有している場合に課される税金で、評価額に基づいて算出されます。
住宅用地には軽減措置が適用されることが一般的ですが、空き家が「特定空き家」に指定されると、この軽減措置が解除されるため、負担が大幅に増加します。
たとえば、200㎡以下の住宅用地の固定資産税は1/6に軽減されますが、特定空き家に指定されると本来の税額が課されます。
土地面積 | 評価額 | 税率 | 軽減後税額 | 軽減解除時税額 |
---|---|---|---|---|
200㎡ | 1,200万円 | 1.4% | 約2.8万円 | 約16.8万円 |
空き家を適切に管理し、特定空き家への指定を避けることが大切です。
参考:固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置|国土交通省
参考:空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を! | 政府広報オンライン
都市計画税
都市計画税は、都市計画区域内の土地や建物に課される税金で、固定資産税と合わせて毎年支払います。
税率は法律で0.3%を上限としており、自治体ごとに設定されています。
土地面積 | 評価額 | 税率 | 軽減後税額 | 軽減解除時税額 |
---|---|---|---|---|
200㎡ | 1,200万円 | 0.3% | 約0.72万円 | 約3.6万円 |
住宅用地に対しては軽減措置が適用され、通常は固定資産税と同様に負担が軽減されますが、特定空き家に指定されると軽減措置が解除されるため、負担が大幅に増加する点に注意が必要です。
空き家を適切に管理し、軽減措置が適用される状態を維持することが重要です。
参考:地方税制度|都市計画税|総務省
参考:空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針|国土交通省
空き家を売却する際の主な注意点
空き家を売却する際には、いくつかの注意点を事前に把握しておくことが重要です。
特に、解体やリフォームの判断、登記名義人の確認、抵当権の抹消手続き、販売価格の設定、スケジュールの計画、税金の支払いなどが挙げられます。
これらのポイントを押さえることで、トラブルを防ぎ、スムーズな売却を実現することが可能です。
以下に、それぞれの注意点について詳しく説明します。
独断で解体やリフォームをしない
解体やリフォームを独断で行うことは避けるべきです。
購入希望者のニーズと合わない改修を行うと、費用が無駄になる可能性があります。
特に、購入希望者が建物を取り壊して新築を希望している場合、売主が行ったリフォームは評価されない場合があります。
そのため、解体やリフォームを検討する際は、不動産会社や購入希望者と相談し、慎重に判断することが重要です。
売主と登記名義人が一致しているか確認する
売主と登記名義人が一致していない場合、売却手続きに支障が出る可能性があります。
名義が異なる場合は、事前に名義変更の手続きを行う必要があります。
また、相続した空き家の場合、相続登記が完了しているか確認することも重要です。
登記名義の確認は、法務局で登記簿謄本を取得することで簡単に行えます。
抵当権抹消登記の手続きを行う
抵当権が設定されたままでは、売却が完了しないため、必ず抹消手続きを行う必要があります。
手続きには抵当権設定契約書や司法書士への依頼が必要です。
登録免許税がかかるほか、司法書士報酬も発生するため、費用の準備も忘れずに行いましょう。
抵当権を抹消することで、買主に安心感を与え、売却をスムーズに進めることができます。
販売価格を相場より高めに設定し値下げ交渉の余地を残す
販売価格は相場よりやや高めに設定するのがポイントです。
購入希望者は値下げ交渉を行う場合が多いため、交渉の余地を残すことで、最終的に希望価格に近い金額で売却できる可能性が高まります。
ただし、相場とかけ離れた価格設定は買い手を遠ざける原因となるため、適切な価格を設定することが重要です。
余裕を持ったスケジュール設定をする
売却活動は予想以上に時間がかかる場合があるため、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。
- 査定依頼から引き渡しまでの期間を確保
- 契約手続きや交渉に十分な時間を設ける
- 不動産会社のサポートを活用する
特に、複数の不動産会社への査定依頼や買主との交渉、契約手続きには時間が必要です。
また、引き渡し日を決定する際も、売主と買主のスケジュールを調整し、無理のない計画を立てることがポイントです。
売却益が発生した場合は譲渡所得税の支払いが必要
空き家を売却して利益が発生した場合、譲渡所得税の支払いが必要です。
この税金は、売却価格から取得費や売却費用を差し引いた金額が課税対象となります。
また売却益が発生した場合は以下も注意しましょう。
- 売却益が出る場合は確定申告が必要
- 税制優遇措置の対象条件を確認する
- 必要書類を事前に揃える
特定の条件を満たす場合、税制優遇措置を利用できる可能性がありますが、事前に税理士や不動産会社と相談し、必要な申告を漏れなく行うことが重要です。
空き家の売却に関するよくある質問
空き家を売却する際には、税金や手続き、期間について多くの疑問が生じることがあります。
- 空き家相続で3000万円控除とは?
- 空き家を売却したら確定申告は必要ですか?
- 空き家を売却するのにどれくらいの期間がかかりますか?
これらの質問に事前に答えを知ることで、安心して売却手続きを進めることができます。
以下では、特に多く寄せられる質問について詳しく解説します。
- 空き家相続で3000万円控除とは?
-
空き家相続での3000万円控除とは、一定の条件を満たす場合に、売却で得た譲渡所得から3000万円を控除できる特例です。
主な適用条件- 被相続人が単独で所有していた住宅
- 相続開始から3年以内に売却
- 耐震基準を満たしている、または解体済み
この制度は、被相続人が一人で所有していた住宅を対象としており、売却により発生する税負担を軽減することを目的としています。
ただし、対象となる住宅には築年数や耐震基準の条件があり、また売却は相続開始から3年以内に行う必要があります。
適用を受けるためには、確定申告の際に必要書類を提出する必要があるため、事前に税理士や不動産会社に相談しましょう。
- 空き家を売却したら確定申告は必要ですか?
-
空き家を売却した場合、確定申告が必要かどうかは売却益が出たかによります。
売却益が発生した場合、譲渡所得税を計算し申告する必要があります。
譲渡所得は、売却価格から取得費や売却費用を差し引いて算出されます。
特定の条件を満たすと3000万円控除やその他の税制優遇措置が適用されるため、税負担を軽減できる場合があります。
一方で、売却益が出ていない場合は、申告が不要なケースもあります。正確な判断をするためには、税理士に相談することをおすすめします。
- 空き家を売却するのにどれくらいの期間がかかりますか?
-
空き家の売却には、一般的に3~6か月程度の期間がかかります。
ステップ 所要期間 査定・仲介会社選び 1~2週間 売却活動(広告・内覧) 1~3か月 契約締結・引き渡し 1~2か月 売却活動のスピードは物件の状態や地域の需要によって異なり、買主が見つかるまでにさらに時間が必要な場合もあります。
具体的には、査定や仲介会社選びに1~2週間、売却活動に1~3か月、契約締結や引き渡しに1か月程度が一般的です。
売却を急ぐ場合は、不動産業者に直接買取を依頼することで、期間を短縮できる場合もあります。
まとめ
空き家の売却を成功させるには、売却方法や流れを正しく理解し、注意点や税制優遇措置を活用することが重要です。
本記事で解説したポイントを押さえれば、トラブルを避けながらスムーズな売却を進めることができます。
売却に関する疑問や不安は、不動産会社や税理士に相談しながら一つずつ解消しましょう。