不整形地とは?特徴や売却の時のポイントを解説!

不整形地とは?特徴や売却の時のポイントを解説!

「不整形地ってなに?」

「不整形地は売却できるの?」

不整形地について悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

不整形地とは、正方形や長方形のような整った形ではなく、L字型や旗竿地、三角地など、形状に歪みや変則性がある土地を指します。

建物の配置が難しい、利用効率が下がるといった理由から、整形地よりも評価額が低くなる傾向があります。

売却を考えている人に向けて、不整形地を売却することはできますが、価格が割安に評価されやすく、建築制限や手続きが複雑になるといった注意点があります。

そのため、整形地と同じ感覚で売り出すと、思わぬ損失を招く可能性があるため、正しい知識と評価方法を理解しておきましょう。

売却する際の注意点は以下の通りです。

  • 土地の形状ごとに評価額が異なる
  • 補正率の有無が価格に直結する
  • メリット・デメリットを整理して訴求ポイントを明確にする
  • 専門的な評価方法を理解して価格交渉に活かす
  • 実務に精通した不動産会社の選定が売却成功の鍵になる

この記事では、不整形地の定義や代表的な種類、売却時の注意点とメリット・デメリットを紹介します。

評価額の調整方法や売却の進め方まで解説します。不整形地の売却を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

不整形地とは?

不整形地とは、正方形や長方形のような整った形状をしておらず、曲がりくねったり、突起やくびれがある土地のことを指します。

具体的には、L字型・旗竿型・三角形・台形・不規則多角形などがあります。

整形地と比較すると、建築時の設計自由度が制限されやすく、土地の利用効率が下がるため、一般的には価格が割安になる傾向があります。

このような土地は、不動産評価や相続税評価においても「不整形地」として扱われます。

不整形地を売却するときの特徴
  • 相続税評価額の引き下げ
    • 「不整形地補正率」が適用され、整形地よりも評価額が低くなる。
    • 相続時の課税額が軽減される可能性がある。
  • 売却価格の減少
    • 建物配置や設計の自由度が制限されるため、買主の需要が限定的になる。
    • 需要が限定的なため、市場での競争力が弱まり、価格交渉で減額されるケースがある。
  • 流通性の低下
    • 土地形状が特殊なため、購入検討者の母数が減りやすく、売却期間が長引くこともある。

ただし、不整形地だからといって一概に不利とは限りません。

設計の工夫や活用次第で、資産価値を高める可能性もあります。

不整形地は主に6種類に分けられる

不整形地は主に6種類に分けられる

不整形地はその形状によって6種類のタイプに分類されます。

不整形地の主な特徴は以下の通りです。

スクロールできます
種類名特徴
旗竿地・L字型地細長い通路(竿部分)で道路に接し、その奥に敷地(旗部分)がある/敷地全体がL字型になっている
三角地三角形の土地。鋭角な交差点や道路に挟まれた形状
台形地・平行四辺形地一部の辺が斜めになっている。四辺が平行四辺形になっている。
隅切り地(角地)角の一部が切り取られた形。視認性確保や道路幅確保のため敷地の一部が削られている。
境界がギザギザ・デコボコ境界線が直線でなく、ギザギザ・凸凹している形状。
傾斜地・がけ地高低差が大きく、傾斜角30度以上のがけなどを含む。

形の違いは単なる見た目の問題ではなく、評価額や建築のしやすさにも大きく影響するため、特性を理解することが大切です。

特に再建築の可否や設計の自由度といった要素は、買主にとって大きな判断材料となり、売却価格や売却スピードに影響が出る為、不動産仲介業者などに一度物件状況を確認してもらいましょう。

不整形地のメリット

形状に難があると思われがちな不整形地ですが、売却においては逆に有利に働く場面も多く存在します。

価格、競合、市場ニーズなど、視点を変えれば「売れやすさ」につながる要素が隠れています。

ここでは、不整形地が持つ4つの売却メリットを詳しく解説します。

不整形地のメリット
  • 価格を抑えた設定で購入希望者を集めやすい
  • 不整形地補正率を使うことで評価額が高まる場合がある
  • 個性的な設計を望む層には独自価値として響く
  • 市場競合が少なく早期売却のチャンスが増える

価格を抑えた設定で購入希望者を集めやすい

不整形地は整形地に比べて評価額が低いため、売却価格も相場より割安に設定されるケースが多くなります。

市場相場よりも金額が抑えられて、立地条件を重視しつつもコストを抑えたい買主にとっては魅力的な選択肢となります。

特に資金に限りのあるファミリー層や投資家層にとっては、価格がネックになりにくいため、問い合わせ数や内覧率が高まる傾向があります。

予算重視の層にアプローチすることで、売却スピードの向上が期待できます。

不整形地補正率を使うことで評価額が高まる場合がある

不整形地では、税務上の評価額に対して「不整形地補正率」が適用されることが一般的です。

売却の際は、不整形地補正率に基づいて評価の根拠を提示すれば、価格の妥当性を証明しやすくなります。

加えて、周辺に似た不整形地がほとんどない場合は、「相対的に使いやすい形」として見なされ、整形地に近い価格で評価されるケースもあります。

市場とのギャップを補うことで、想定以上の価格で売却できる可能性もあるため、今の状況を踏まえて、不動産仲介業者などに相談してみましょう。

個性的な設計を望む層には独自価値として響く

注文住宅を検討する層やデザイナー住宅を志向する買主にとって、不整形地は人気です。

一般的な区画にはない形状が、斬新な設計プランの発想源となるため、唯一無二の住まいづくりに価値を見出す人々に響きやすいと言えます。

特に旗竿地やL字型地などは、プライベート感や中庭設計と相性が良く、通常の整形地では得られない生活動線を実現できます。

形の制限をデザインで補うだけでなく、意図的に活かすという提案も売却の際には有効です。

市場競合が少なく早期売却のチャンスが増える

不整形地は流通量自体が少ないため、同一エリア内で競合物件にぶつかりにくいという特徴があります。

とくに特定の予算や立地に絞って物件を探している買主にとって、「条件を満たす中で唯一の選択肢」となるケースが珍しくありません。

また、土地形状による特性が明確な分、買主側も購入の意思決定が早くなりやすい傾向があります。

結果として、早期売却につながる可能性が高まり、在庫リスクの低減にも貢献します。

不整形地のデメリット

不整形地には売却時に注意すべき点が複数存在します。

形状の特性から評価額や買主の選定、建築や手続き面において整形地より不利な条件が重なることもあります。

ここでは、不整形地を売却する際に直面しやすい代表的な4つのデメリットを紹介します。

不整形地のデメリット
  • 評価額が整形地より割り引かれる
  • 造成・設計に追加コストが発生しやすい
  • 建築制限や法令手続きが複雑になりがち
  • 買主の検討期間が長くなり売却が延びる可能性がある

評価額が整形地より割り引かれる

売却を考えている方に向けて、不整形地は形状の不利さから、整形地に比べて評価額が下がる傾向があります。

不整形地評価額は、相続税評価に限らず、実勢価格にも影響しやすく、売却時には希望額に届かないケースが多く見られます。

特に、整形地と比較して建築や活用の制限が見込まれる場合、買主側から価格交渉を受けやすくなるのが実情です。

市場相場との差を正しく把握し、価格設定の現実性を見極めましょう。

造成・設計に追加コストが発生しやすい

不整形地は形状に合わせた土地造成や、特殊な設計を要することが多いため、通常より初期コストがかかりやすい傾向にあります。

買主側にとっては建物の配置に制限がかかるだけでなく、擁壁設置や地盤改良が必要となる場合もあります。

そのため、追加負担が売買価格に反映され、最終的に売却価格の引き下げ要因となることが少なくありません。

売却前に発生し得るコストを整理して説明できると、信頼性を高める効果が期待できます。

建築制限や法令手続きが複雑になりがち

不整形地は建築基準法上の「接道義務」や容積率の扱いが複雑になることが多く、再建築の可否や建築プランの自由度に影響します。

また、旗竿地では、道路との接道長が不足することで再建築不可と判断される可能性もあります。

法的制約がある場合、買主が躊躇する要因となり、購入希望者の数自体が限られてしまいます。

売却活動を始める前に、事前に建築条件を整理しておくことが重要です。

買主の検討期間が長くなり売却が延びる可能性がある

不整形地は形状の独自性ゆえに、購入者が活用方法や設計に悩むケースが多くなります。

とくに住宅用途を検討している層では、間取りや採光の問題が具体的な懸念として浮かびやすく、意思決定までの時間が延びがちです。

結果として、整形地よりも売却期間が長期化するリスクが高まります。

懸念を事前に把握し、売却活動では活用イメージを提示できる資料を用意するなど、戦略的な準備が求められます。

不整形地は不整形地補正率を基に評価額を調整する

不整形地は、整形地と比べて建築や活用の自由度が限られることから、評価額が低くなります。

不整形地には接道が狭い、形が極端に歪んでいるなど、利用しづらい条件が価格に反映されるためです。

評価額を調整する際には「不整形地補正率」が適用されます。

不整形地補正率とは、形状や接道状況を考慮し、土地の価格を一定割合で減額するための係数です。
相続税評価や売却時の価格設定においても用いられる実務的な指標とされています。

たとえば、整形地の地価が200,000円/㎡、補正率が0.85とされた場合、不整形地の評価額は以下のように計算されます。

評価額の基本式

200,000円 × 0.85 = 170,000円/㎡

数値に基づいた説明ができれば、売却価格の根拠を買主に提示しやすくなります。

交渉の場面でも説得力が増し、安易な値下げ要求も避けられるでしょう。

不整形地補正率を理解し、評価額に適用することで、より現実的で納得感のある価格戦略が立てられます。

参考:国税庁│奥行価格補正率表

不整形地は4種類の評価方法がある

不整形地の評価は、土地形状の個別性が高いため、一般的な整形地と同様の評価方法では価格の正確な算出が困難です。

そこで、不動産評価においては、地形の特性に応じた4つの手法が活用されます。

不整形地の評価方法
  • 不整形地を区分して整形地計算法を適用する方法
  • 計算上の奥行距離を算出して評価額に反映する方法
  • 近似する整形地を設定して補正率を算定する方法
  • 隣接整形地価額を差し引いて評価額を求める方法

それぞれの方法には特徴があり、土地の形状や接道条件、周辺の環境によって適切な算出手段が選ばれます。

不整形地の売却を検討する際には、どの評価方法が適用されるかを把握し、納得のいく価格設定に繋げましょう。

不整形地を区分して整形地計算法を適用する方法

不整形地を区分して整形地計算法を適用する方法

引用:国税庁│不整形地の評価

不整形地の中でも、比較的整った部分と、形状が崩れている部分を明確に分けることができる場合に適用されます。

この方法では、不整形地を区分して求めた整形地を基として計算した価額の合計額に、不整形地補正率を乗じて評価します。

敷地全体を一律で減額するのではなく、使いやすい部分とそうでない部分を分けて計算するため、評価額の精度が高まります。

土地を部分的に活用しやすい形状である場合には、実情に即した価格提示が可能になります。

参考:国税庁│区分した整形地を基として評価する場合

計算上の奥行距離を算出して評価額に反映する方法

計算上の奥行距離を算出して評価額に反映する方法

引用:国税庁│不整形地の評価

奥行距離にばらつきのある不整形地では、奥行補正率に基づく評価方法が使われます。

この手法では、整形地の地積を間口距離で除して算出した、計算上の奥行距離を基として求めた整形地としての価額に、不整形地補正率を乗じて評価します。

特に、前面道路との距離に極端な差がある土地では、奥行の不利を価格へ反映される必要があります。

現実の利用価値に沿った補正が可能となるため、実用性の低い土地を正当に評価できる点が特徴です。

そのため、売却価格の根拠としても説得力を持たせることができます。

参考:国税庁│計算上の奥行距離を基として評価する場合

近似する整形地を設定して補正率を算定する方法

近似する整形地を設定して補正率を算定する方法

引用:国税庁│不整形地の評価

周辺に形状が近い整形地が存在する場合には、近似整形地法による評価が行われます。

この方法では、実際の不整形地に似た整形地を仮定し、その土地を基準に補正率を導き出します

形状だけでなく、面積や接道条件も考慮するため、比較対象が適切であるかどうかが正確な評価に直結します。

価格の相場の目安をつかみやすくなり、買主にも納得されやすい提示が可能になります。

不整形地の特性を客観的に説明したい場面に適した手法です。

参考:国税庁│不整形の評価

隣接する整形地の価額を差し引いて評価額を求める方法

隣接整形地価額を差し引いて評価額を求める方法

引用:国税庁│不整形地の評価

全体整形地としての価値から整形地部分の価格を差し引くこで、公平な形で不整形地の評価を行います。

この評価方法は、不整形地と隣接する整形地が一体的に利用されている場合に用いられます。

まず、対象地を含めた全体の整形地としての価額を算出し、そこから隣接する整形地の価額を差し引くことで不整形地部分の評価額を求めます。

特に、地積や形状が複雑で、個別評価が難しい場合に有効です。

参考:国税庁│差引き計算により評価する場合

不整形地の不動産売却ならセンチュリー21ライズ不動産販売にお任せ

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不整形地の売却には、専門的な知識と経験が必要です。

形状によって評価額が大きく変動し、接道条件や法令制限が複雑に絡むため、不動産仲介業者での売却をおすすめします。

センチュリー21ライズ不動産販売では、不整形地の査定から販売戦略の立案、買主への提案資料作成に至るまで、サポートしています

地域相場と補正率の相関を踏まえた査定や、買主の目線に立った提案が可能なため、成約までのスピードと価格面で納得できる結果を実現。

個人では難しい測量・法令確認といった技術的対応を行うため、安心して売却活動に臨めます。

まとめ

不整形地は形状による使いにくさから評価額が下がりやすく、整形地に比べて売却の難易度が高いとされています。

しかし、価格設定に柔軟性がある、設計の自由度を活かせる、競合が少ないといったメリットも存在します。

評価においては不整形地補正率や4つの算出方法が用いられ、土地の実態に即した価格を導き出すことが可能です。

売却を成功させるには、形状や接道条件に応じた評価知識と、実務経験を持つ不動産会社の支援が不可欠です。

センチュリー21ライズ不動産販売のような専門的なサポートを活用すれば、不整形地であっても納得のいく価格での成約が見込めます。

土地の形状を正しく理解し、根拠のある戦略で売却活動を進めましょう。

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