「一戸建てを売却する手順は?」
「一戸建て売却にかかる費用相場は?」
一戸建ての売却は、売却活動から引き渡しまで3~6ヶ月ほどかかることが一般的です。
主に以下の流れで進めます。
- 一戸建て売却前の事前準備をする
- 不動産会社に査定依頼をする
- 売却活動を開始する
- 内覧対応を行い買主と交渉をする
- 買売買契約を締結する
- 決済・引き渡しを行い売却を完了する
売却には、価格の設定、内覧対応、不動産会社選び など、いくつもの重要なステップがあります。
また、売却までの期間や必要な費用を正しく把握しておくことも大切です。
本記事では、一戸建て売却の基本的な流れや費用、売却期間の目安、高値で売却するコツ などを詳しく解説します。
これから一戸建ての売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

一戸建て売却の流れを解説!準備から引渡しまでの手順

一戸建てを売却するには、売却準備から引き渡しまでの手順が必要です。
その手順を把握し、スムーズに売却できるよう準備するようにしましょう。
以下が一戸建ての売却手続きの一般的な流れです。
- 一戸建て売却前の事前準備をする
- 不動産会社に査定依頼をする
- 売却活動を開始する
- 内覧対応を行い買主と交渉をする
- 買売買契約を締結する
- 決済・引き渡しを行い売却を完了する
それぞれの工程について、詳しく解説していきます。
1.一戸建て売却前の事前準備をする
売却前の準備が不十分だと、希望価格での成約が難しくなります。
以下の点を事前に確認することが重要です。
- 売却の目的と希望条件を整理する
- 周辺の類似物件の売却相場を把握する
- 必要な書類を準備する
売却の目的と希望条件を整理する
一戸建てを売却する目的を明確にし、希望する売却価格や引渡し時期を決めることが大切です。
売却理由が明確でないと、適正な価格設定や交渉の際に不利になることがあります。
- 買い替えの場合:新居の購入時期と売却タイミングを調整する必要がある。
- 早く売却したい場合:買取などの選択肢も検討する必要がある。
「いつまでに売りたいのか」「いくらで売却したいのか」を明確にし、スムーズな取引につなげましょう。
周辺の類似物件の売却相場を把握する
一戸建てを売却する際は、物件の売却相場を調べるようにしてください。
相場を把握することで、安売りを防ぐことや、周辺の相場に合わせることでスムーズに売却することができます。
売却相場の調べ方は以下になります。
- 不動産ポータルサイトで調べる
- 国土交通省の不動産情報ライブラリで調べる
- レインズ・マーケット・インフォメーションで調べる
不動産ポータルサイトでは、エリア別の売買実績を確認することができるので、広さ、築年数の近いものと比較することで目安の売却相場を確認することができます。
また、「不動産情報ライブラリ」は国土交通省が管理するウェブサイトで、不動産市場に関するデータや情報を提供しています。
レインズ・マーケット・インフォメーションは、国土交通大臣が指定した不動産流通機構が管理するサイトで、不動産取引に関する情報を確認できます。
必要な書類を準備する
売却相場を把握した後は、売却に必要な書類を準備します。
不動産会社や買主との契約手続きに備え、事前に用意しておくことで売却をスムーズに進められます。
戸建ての売却に必要な書類は以下の通りです。
戸建て | 土地 | |
---|---|---|
登記簿謄本または登記事項証明書 | 〇 | 〇 |
売買契約書 | 〇 | 〇 |
物件購入時の重要事項説明書 | 〇 | 〇 |
土地測量図・境界確認書 | 〇 | 〇 |
固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書 | 〇 | 〇 |
登記済権利書または登記識別情報 | 〇 | 〇 |
設備の仕様書 | 〇 | |
建築確認済証および検査済証 | 〇 | |
物件の図面 | 〇 | |
本人確認書類 | 〇 | 〇 |
印鑑証明書 | 〇 | 〇 |
住民票 | 〇 | 〇 |
実印 | 〇 | 〇 |
建築設計図書・工事記録書(中古住宅の場合) | 〇 | 〇 |
書類の不備があると契約が遅れる原因になるため、早めに準備しておきましょう。
2.不動産会社に査定依頼をする
一戸建ての売却価格を決めるためには、不動産会社の査定を受けることが不可欠です。
査定の方法や媒介契約の違いを理解し、適切な不動産会社を選ぶことが成功のカギになります。
ここでは、不動産会社に依頼するときに知っておくべきポイントを紹介します。
- 机上査定と訪問査定の違いを理解する
- 媒介契約の種類と特徴を把握する
また、1社だけの査定価格だと、安いのか高いのか判断できないため、複数の業者の査定価格を比較するようにしましょう。
机上査定と訪問査定の違いを理解する
不動産査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。
主な違いは以下の通りです。
査定方法 | 机上査定 | 訪問査定 |
---|---|---|
査定の特徴 | 過去の取引データや市場相場をもとに概算価格を算出 | 実際に物件を訪問し、現状を確認した上で価格を算出 |
所要時間 | 数十分〜1日程度 | 1週間程度 |
精度 | 大まかな目安としての価格提示(正確性は低め) | 物件の状態を反映したリアルな査定価格 |
考慮される要素 | 立地・築年数・間取り・過去の成約価格など | 立地・築年数・間取り・設備の状態・日当たり・リフォーム歴など |
メリット | 短時間で結果が出るため、気軽に査定できる | 価格の正確性が高く、売却戦略が立てやすい |
デメリット | 物件の実際の状態が考慮されないため、実際の売却価格と差が出る可能性がある | 査定に時間がかかるり、不動産会社の担当者と日程調整が必要 |
おすすめの人 | まだ売却するか決めておらず、相場を知りたい人 | 本格的に売却を進めたい人や、適正な売却価格を知りたい人 |
ざっくりとした売却相場を知りたいなら「机上査定」、正確な価格で売り出すなら「訪問査定」がおすすめです。
本格的に売却を検討している場合は、訪問査定を依頼することで、売却計画をより具体的に立てやすくなります。
媒介契約の種類と特徴を把握する
不動産会社と契約する際には、「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3つの媒介契約のいずれかを選びます。
主な特徴は、媒介契約の種類による売主の自由度の違いです。
専属専任媒介契約や専任媒介契約は、不動産会社に課される義務が多く、売主に対しても多くの制限が課されます。
一方、一般媒介契約は、不動産会社・売主ともに課される義務や制限がほとんどないため、自由度の高い契約形態となっています。
詳しい違いは以下の通りです。
契約種類 | 専属専任媒介 | 専任媒介 | 一般媒介 |
---|---|---|---|
依頼できる不動産会社の数 | 1社のみ | 1社のみ | 複数社 |
自己売却(個人で買主を見つける)の可否 | 不可 | 可能 | 可能 |
レインズ(不動産流通機構)への登録義務 | 5営業日以内に登録 | 7営業日以内に登録 | 任意 |
売却活動の報告義務 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | なし |
メリット | ・不動産会社が積極的に売却活動を行う ・定期的に進捗報告がある | ・1社に任せられるため手間が少ない ・自己売却も可能 | ・複数社に依頼できるため、多くの買主にアプローチできる |
デメリット | ・自己売却ができない ・1社のみのため販売力に左右される | ・他社との競争がないため、不動産会社の対応が遅くなる場合がある | ・不動産会社の優先度が低くなる可能性がある |
契約の特徴を理解し、自分に合った媒介契約を選びましょう。
3.売却活動を開始する
査定が終わり、媒介契約を結んだら売却活動を開始します。
売り出し価格の決定や物件の魅力を伝える方法を工夫し、できるだけ短期間で高く売れるように対策しましょう。
ここでは、売却活動に大切なポイントを解説します。
- 不動産会社と売り出し価格を決定する
- どのように物件をアピールするか考える
- 売却前に家をクリーニングや修繕しておく
不動産会社と売り出し価格を決定する
売却価格の設定は、高すぎると売れにくく、低すぎると損をするため慎重に行う必要があります。
不動産会社の査定価格を基準にしつつ、類似物件の売却価格を参考にしながら適正価格を決めましょう。
また、売却開始後1〜3ヶ月経っても買主が見つからない場合は、価格を見直す必要があります。
市場の動向を見ながら、適切な価格調整を行うことが重要です。
どのように物件をアピールするか考える
一戸建て売却では、魅力的な物件情報の発信が重要です。
不動産ポータルサイトやチラシ、オープンハウスなどを活用し、物件の特徴をしっかりアピールしましょう。
特に「リフォーム済み」「駅近」「日当たり良好」などの強みを前面に出すことで、より多くの買主の目に留まりやすくなります。
売却前に家をクリーニングや修繕しておく
内覧時に清潔感があるかどうかは、買主の印象を大きく左右します。
売却前にハウスクリーニングを依頼する、軽微な修繕を行うことで、好印象を与えやすくなります。
特に水回りの清掃や壁紙の張り替えなどは、低コストで見た目の印象を大きく変えられるため、売却を成功させるポイントとなります。
4.内覧対応を行い買主と交渉をする
一戸建て売却では、内覧時の印象が成約に直結します。
買主が物件を実際に見て、住みたいと感じるかどうかが決め手となるため、整理整頓や清掃を徹底することが重要です。
ここでは、内覧を成功させるための準備や交渉のポイントを解説します。
- 内覧を成功させるために家を整理する
- 買主の質問にスムーズに答えるための準備をする
- 値下げ交渉への対応をする
- 引渡時期や諸費用負担の売却条件を決める
内覧を成功させるために家を整理する
内覧時の第一印象は、買主の購入意欲を左右します。
清潔感と広さを強調するために、不要な家具や荷物を減らし、リビングや玄関をスッキリさせましょう。
特に水回り(キッチン・浴室・トイレ)の清掃は徹底することが大切です。
また、室内の明るさも印象を左右するため、カーテンを開け、照明をつけて明るい雰囲気を作ると効果的です。
さらに、生活感を抑えることで、買主が自分の暮らしをイメージしやすくなります。
買主の質問にスムーズに答えるための準備をする
買主は内覧時に、物件に関する具体的な質問をするため、事前に回答を準備しておくことが大切です。
よく聞かれる質問として、「築年数」「リフォーム履歴」「近隣環境」「管理状況」などが挙げられます。
特にリフォーム済みの場合は、どの部分をいつ修繕したのか具体的に説明できるようにしましょう。
また、固定資産税の額や月々の光熱費についても聞かれることがあるため、必要な情報を整理しておくとスムーズです。
値下げ交渉への対応をする
買主は、より良い条件で購入したいと考えるため、値下げ交渉が発生することは珍しくありません。
しかし、むやみに価格を下げるのは避けるべきです。
あらかじめ、「どこまで値下げに応じるか」「どの条件なら値下げできるか」を決めておくと、交渉がスムーズに進みます。
交渉の基準を設けておくことで、焦らず対応できます。
引渡時期や諸費用負担の売却条件を決める
売却価格だけでなく、引渡時期や諸費用の負担についても事前に明確にしておくことが大切です。
買主によっては、「早めに引渡してほしい」「引越しのタイミングを合わせたい」など、希望が異なるため、自分のスケジュールとすり合わせながら対応する必要があります。
また、契約時に発生する登記費用や契約書の印紙代の負担をどうするかも、交渉の際に決めるべきポイントです。
5.買売買契約を締結する
売買契約は、売却が正式に確定する重要な手続きです。
この段階で、買主と売主が合意し、契約書を交わすことで、法的な売却手続きが進行します。
ここでは、売買契約の流れと注意点について解説します。
- 手付金の受領と売却の確定をする
- 住宅ローンの返済手続きや引っ越しの準備をする
手付金の受領と売却の確定をする
買主が購入の意思を固めると、売買契約を締結し手付金を受領することで契約が確定します。
この段階で、売主は売買代金の20%以内の手付金を受け取り、仲介手数料の半額を支払うことが一般的です。
売買契約書で必ず確認するポイントは以下の通りです。
- 売買代金:物件の土地と建物の内訳金額と合計金額
- 手付金の額:売買契約が成立した際には、手付金が必要であり、これは通常、現金で支払われます。
- 支払い日:契約日(手付金支払い日)から1カ月後程度を目安に、残りの代金支払い期日を設定するのが一般的です。
- 支払い方法:支払い方法は主に現金または預金小切手に限られており、銀行振込が一般的です。
締結後のトラブルを防ぐためにも、しっかりと確認しましょう。
住宅ローンの返済手続きや引っ越しの準備をする
売却する物件に住宅ローンが残っている場合、売却金でローンを完済する手続きが必要です。
銀行に問い合わせ、一括返済の手続きや抵当権の抹消申請を進めましょう。
また、引き渡し前に引っ越しの準備を完了しておくことも大切です。
特にリフォーム済み物件や築浅の物件では、買主が早めの引き渡しを希望するケースが多いため、スムーズに引っ越しできるよう計画を立てておきましょう。
6.決済・引渡しを行い売却を完了する
最終的な売却手続きとして、決済と引き渡しを行います。
ここでは、最後までスムーズに進めるために、必要な手続きと注意点を解説します。
- 買主からの売却金が入金されたか確認をする
- 抵当権抹消登記の手続きを行う
- 鍵の引渡しと必要物を買主に渡す
- 確定申告や税金を支払う
買主からの売却金が入金されたか確認をする
決済日には、買主が売却金を銀行へ振り込み、売主の口座へ入金されることを確認します。
通常、司法書士が立ち会い、入金確認後に所有権移転登記の手続きを進める流れになります。
万が一、入金の遅れが発生した場合は、売買契約の内容を確認し、不動産会社や司法書士と相談しながら適切に対応しましょう。
抵当権抹消登記の手続きを行う
買主から売買代金が支払われた後、売主は抵当権抹消の手続きを行う必要があります。
手続きが完了しないと、不動産の売却は成立しません。
売主は金融機関から抹消書類と委任状を受け取り、所有権移転に必要な書類を司法書士に共有します。
司法書士に依頼する費用は約1万~2万円で、通常は売主が負担します。
一方、所有権移転に関する費用は買主が負担するのが一般的です。
費用の負担については、売買契約時に取り決められるため、事前に確認しておきましょう。
鍵の引渡しと必要物を買主に渡す
決済が完了し、所有権移転登記の手続きが進んだら、買主に鍵を引き渡します。
また、設備の保証書や取扱説明書、管理規約(分譲地などの場合)など、引き継ぎが必要な書類も一緒に渡すと親切です。
引渡し前には、最終的な室内チェックを行い、不具合や残置物がないか確認しましょう。
確定申告や税金を支払う
不動産売却によって利益(譲渡所得)が発生した場合、確定申告を行い、譲渡所得税を納める義務があります。
ただし、「3,000万円特別控除」や「買い替え特例」などを利用することで、税負担を軽減できる可能性があります。
確定申告の時期は売却した翌年の2月17日〜3月17日までとなっているため、必要書類(売買契約書・譲渡所得計算書など)
を準備し、申告を忘れないようにしましょう。
一戸建て売却の費用相場は?合計で約500万円かかる
一戸建てを売却した際には、仲介手数料、税金、修繕費用などの費用が掛かります、
ここでは、一戸建ての売却にかかる費用について紹介していきます。
- 不動産会社に支払う仲介手数料
- 譲渡所得税や住民税
- 外壁・屋根・水回りなどの修繕費用
不動産会社に支払う仲介手数料
仲介手数料は、不動産会社に支払う売却活動に対する成功報酬のことです。
不動産会社に支払う仲介手数料の金額は、宅地建物取引業法で上限が定められています。
売買価格によって異なり、以下のように定められております。
800万円未満の場合 | 30万円+消費税 |
---|---|
800万円以上の場合 | (売買価格×3%+6万円)+消費税 |
例えば、2000万円の物件を売却する場合、仲介手数料の上限は以下のように計算されます。
売買価格2000万円×3%+6万円+消費税=726,000円
この速算式で計算することで、不動産会社に支払う仲介手数料の目安を算出することができます。
支払いのタイミングは、売買契約の締結時に半金、引渡し時に残り半金の2回に分けるのが一般的です。
このように、一戸建てを売却する際は、不動産会社に支払う仲介手数料が発生するため、事前に把握しておきましょう。
譲渡所得税や住民税
一戸建てを売却する際にかかる費用には、譲渡所得税や住民税があります。
利益の算出には、売却額から「不動産の取得費」と「譲渡費用」を差し引いた譲渡所得額が使われます。
不動産の売却価格-(不動産の取得費+譲渡費用)=譲渡所得額
「不動産の取得費」は、単純な購入金額ではなく、一般的には購入価格から建物の減価償却費を差し引いて算出されます。
「譲渡費用」には、売却時に不動産会社に支払った仲介手数料などが含まれます。
譲渡所得税は、譲渡所得額に対して物件の所有期間に応じた税率が適用されます。
所得税 | 住民税 | 合計 | |
---|---|---|---|
短期譲渡所得(保有期間5年以下) | 30.63% | 9% | 39.63% |
長期譲渡所得 (保有期間5年以上) | 15.315% | 5% | 20.315% |
売却により利益が出た場合は、譲渡所得額に上記の税率をかけることで、所得税と住民税の課税額を計算できます。
外壁・屋根・水回りなどの修繕費用
戸建てをリフォームしてから売却する際には、外壁・屋根・水回りなどの修繕費用がかかります。
リフォームすることで、物件の価値が高まり、売買価格が高くなり、買い手が見つかりやすくなります。
リフォームにかかる費用の相場は、以下の通りです。
リフォーム箇所 | 費用相場 |
---|---|
外壁 | 40万円~150万円 |
屋根 | 40万円~150万円 |
トイレ | 8万円~20万円 |
浴室 | 40万円~150万円 |
キッチン | 50万円~200万円 |
洗面所 | 10万円~20万円 |
上記は、あくまで参考価格であり、設備のグレードや委託するリフォーム会社によって異なります。
リフォームに300万円掛けたからといって、300万円以上高く売却できるわけではないので注意するようにしましょう。
なので、リフォームする際は費用対効果が合うか入念にシミュレーションをしたうえで行うようにしてください。
一戸建て売却が難しいと言われる理由

一戸建ての売却は、マンションに比べて時間がかかることが多く、適切な対策をしなければ「なかなか売れない」と悩むケースが少なくありません。
主な理由として、以下が挙げられます。
- 資産価値の低下が早い
- 需要が少ない
- 立地の問題
- 築年数による影響
- 価格設定の難しさ
ここでは、それぞれの課題について詳しく解説し、売却を成功させるためのポイントを紹介します。
資産価値の低下が早い
一戸建ては、マンションに比べて建物の資産価値が下がるスピードが速いことが特徴です。
特に、築20年を超えると建物の価値はほぼゼロと評価されることもあります。
これは、建物の耐久性やメンテナンスコストの問題が影響しているためです。
しかし、土地の価値は残るため、売却時には「土地の評価額」に注目することが重要です。
さらに、適切なリフォームやリノベーションを行うことで、建物の価値を維持・向上させることも可能です。
買主にとって魅力的なポイントをアピールし、資産価値の低下をカバーしましょう。
需要が少ない
戸建ての売却が難しい理由の一つに、市場における需要の低さがあります。
特に都市部では、マンションの利便性を重視する人が多いため、一戸建ての需要が限定的です。
また、郊外の一戸建ては、アクセスの不便さや維持管理の手間などがネックとなり、買主が見つかりにくくなります。
ターゲット層を明確にし、「ファミリー向け」「庭付きでペット可」などの魅力を強調することで、売却の可能性を高めることが重要です。
立地の問題
一戸建ての売却価格や売却期間には、立地が大きく影響します。
駅から遠い、バス便のみ、周辺にスーパーや学校がないなどの要因があると、買主にとっての魅力が低下します。
しかし、立地のデメリットを補う情報を伝えることで、売却の成功率を上げることが可能です。
例えば、「近くに公園があり、子育て環境が整っている」「駐車スペースが広く、車を利用する家庭に最適」といった具体的なメリットをアピールすることで、買主の興味を引くことができます。
築年数による影響
築年数が経過した一戸建ては、住宅ローンの審査が厳しくなるため、買主が資金を調達しにくくなるケースがあります。
特に築30年以上の物件は、融資条件が厳しくなり、買い手がつきにくい傾向にあります。
このような状況では、「リフォーム済み物件として売却する」「買取業者を利用する」などの選択肢を検討すると良いでしょう。
また、築年数が古くても、耐震補強を行うことで買主の不安を軽減できるため、必要に応じてメンテナンスを施すことも有効です。
価格設定の難しさ
一戸建ては、マンションのように同じ間取り・構造の物件が少なく、適正な価格を設定するのが難しいという特徴があります。
売却価格が高すぎると買い手がつかず、安すぎると損をするため、慎重に設定する必要があります。
適正な価格を決めるには、以下のポイントをチェックしましょう。
- 近隣の類似物件の売却価格を調査する
- 不動産会社の査定結果を比較する
- 売却開始後、一定期間売れない場合は価格調整を検討する
適切な価格を設定し、必要に応じて価格交渉に対応することで、スムーズな売却を実現できます。
一戸建て売却で失敗しないための不動産会社の選び方
一戸建て売却で失敗しないための不動産会社の選び方のポイントは、以下の通りです。
- 複数の不動産会社に相談する
- 実績が豊富な不動産会社を選ぶ
- 口コミや評判の良い不動産会社を選ぶ
- 一戸建て売却が得意な不動産会社を選ぶ
それぞれのポイントについて解説していきます。
複数の不動産会社に相談する
一社だけの査定結果や提案に頼るのはリスクが高いため、必ず複数の不動産会社に相談しましょう。
会社によって査定額が大きく異なることがあり、高すぎる査定額を提示する業者には注意が必要です。
不動産会社を比較する際のポイントは以下の3つです。
- 査定価格の根拠を詳しく説明してくれるか
- 売却戦略や販売方法について具体的な提案があるか
- 販売実績が豊富で、地域の相場に詳しいか
- サービスや仲介手数料が釣り合っているか
仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で定められていますが、それ以下であれば不動産会社が自由に設定できます。
そのため、仲介手数料を安くする業者もあり、交渉の余地があります。
また、会社ごとに提供する付帯サービスが異なるため、手数料だけでなくサポート内容も比較することが大切です。
主な付帯サービスとして、以下のようなものがあります。
- 室内や設備の修繕
- ハウスクリーニング
- 成約時のギフトカードプレゼント
不動産会社ごとに独自のサービスが用意されているため、業者選びの際は費用面だけでなく、提供されるサポート内容も含めて総合的に判断するとよいでしょう。
実績が豊富な不動産会社を選ぶ
不動産会社の販売力や交渉力は、売却のスピードや成約価格に直結します。
過去にどれだけの売却実績があるかを確認し、実績が豊富な会社を選ぶことが重要です。
実績を確認する際のポイントは以下の通りです。
- 過去の売却事例
特に一戸建ての成約数 - 販売活動の手法
広告・ポータルサイト掲載・オープンハウスの実施など - 売却期間の平均
どのくらいの期間で売れているか
特定エリアでの売却実績や、希望物件の条件に近い不動産の取引実績が多ければ、より正確な査定結果が期待できます。
不動産会社の売却実績は、公式ホームページや店舗の看板などで確認できるので確認するようにしましょう。
口コミや評判の良い不動産会社を選ぶ
不動産会社の実際の口コミを確認することも大切になります。
特に、過去に利用した売主のレビューを参考にすると、契約後の対応や営業担当者の質が分かります。
口コミをチェックする際のポイントは以下の通りです。
- 査定額と実際の成約価格に差がなかったか
- 担当者の対応が丁寧で、説明が分かりやすいか
- 売却活動の報告をしっかり行ってくれるか
Googleレビューや不動産一括査定サイトの口コミを確認し、総合的な評価が高い会社を選びましょう。
ただし、悪い口コミがあっても、その理由を冷静に判断し、単なる個人的な感情によるものなのか、会社の問題点なのかを見極めることが大切です。
一戸建て売却が得意な不動産会社を選ぶ
不動産会社には、マンション売却に強い会社、一戸建ての売却に強い会社、投資用不動産に特化した会社など、それぞれ得意分野があります。
一戸建ての売却を成功させるには、一戸建て売却の実績が豊富な会社を選ぶことが大切です。
一戸建て売却に強い会社を見極めるポイントは以下の通りです。
- 過去に一戸建て売却の成約事例が多いか
- 売却価格や販売戦略について具体的な提案があるか
- 広告戦略に強みがあり、ターゲット層に適切なアプローチができるか
また、一戸建てはマンションと異なり、庭や駐車場、建物の状態など、評価すべきポイントが多いため、適切に評価できる会社を選ぶことが大切です。
特に、地方の一戸建ては売却が難しい場合があるため、地域に強い不動産会社を選ぶと良いでしょう。
一戸建て売却を成功させるコツ
一戸建てをできるだけ高く、スムーズに売却するためには、タイミングや売却戦略が重要です。
一戸建て売却を成功させるコツは、以下の通りです。
- 需要が高い時期に売却する
- 内覧での印象を良くするためにホームステージングを活用する
- 高値売却を狙うならリフォーム・ハウスクリーニングも検討する
ここでは、一戸建て売却を成功させるための具体的なポイントを解説します。
売却時期を需要が高い時期にする
一戸建ての売却は、買主の需要が高まる時期に売り出すことで、より早く、より高値で売却しやすくなります。
一般的に、不動産市場が活発になるのは以下のタイミングです。
- 1月~3月(新生活シーズン)
- 9月~11月(転勤・引っ越しが増える時期)
一方で、夏や年末は買主の動きが鈍くなり、売却が長引くことがあるため注意が必要です。
また、市場の相場や競合物件の動向を確認し、最適な売却時期を見極めましょう。
内覧での印象を良くするためにホームステージングを活用する
内覧時の第一印象が売却成約率に大きく影響するため、ホームステージングを活用して買主に好印象を与えることが重要です。
ホームステージングとは、家具の配置やインテリアを整え、買主が「この家に住みたい」と思えるように演出することです。
ホームステージングのポイントは以下の通りです。
- 家具の配置を見直し、部屋を広く見せる
- カーテンを開け、明るく開放的な雰囲気を作る
- 玄関やリビングに観葉植物を置き、温かみを演出する
- 生活感が出すぎないように、不要な物は片付ける
特に、モデルルームのような清潔感とシンプルな空間を意識することが大切です。
最近では、不動産会社がホームステージングのサービスを提供していることもあるため、必要に応じて活用しましょう。
高値売却を狙うならリフォーム・ハウスクリーニングも検討する
築年数が経過している一戸建ては、リフォームやハウスクリーニングを行うことで、売却価格を上げることが可能です。
ただし、大掛かりなリフォームはコストがかかるため、費用対効果を考えて実施することが重要です。
おすすめのリフォーム・修繕ポイントは以下の通りです。
- 壁紙や床の張り替え
特に汚れが目立つ部分 - 水回りのクリーニングや設備交換
キッチン・浴室・トイレ - 外壁や屋根の補修
見た目の印象を向上させる
また、ハウスクリーニングを依頼するだけでも、清潔感が増し、買主に好印象を与えることができます。
費用を抑えつつ、リフォームやクリーニングを活用し、少しでも高く売れる工夫をしましょう。
一戸建ての売却に関してよくある質問
一戸建ての売却に関してよくある質問について紹介していきます。
一戸建ての売却にかかる期間はどれくらいですか?
相談からご成約、そしてお引き渡しまで、1ヶ月から6ヶ月程度掛かるのが一般的です。
媒介契約を締結してから販売開始までは、広告作成や情報収集などの準備に約1週間かかります。
売却活動は通常、1ヶ月から3ヶ月を目標に行われますが、物件によっては時間がかかることもあります。
また、売買契約後、残金決済までの期間は現金なら約1週間ですが、購入者のローン審査には通常1ヶ月ほどかかります。
一戸建てを売却した後に確定申告は必要ですか?
一戸建てを売却した際に利益(譲渡所得)が発生した場合は、売却した年の翌年に確定申告が必要になります。
通常、年末調整で納税しているサラリーマンの方でも、確定申告が必要です。申告手続きは税理士に依頼することもできますが、自分でも行うことが可能です。
確定申告の期間は、原則として毎年2月16日〜3月15日です。
また、先述紹介しました「譲渡所得に関する特例を利用するとき」も確定申告が必要になります。
一戸建てを売却する際の査定で見られているポイントは?
一戸建てを売却する際の査定で見られているポイントは、以下の通りです。
- 面積、形状
- 接道状況
- 境界
上記の土地の面積や形状は重要であり、特に接道状況が重要視されます。
土地に接する道路の幅や形状は建築基準法で定められており、4メートル未満の幅では再建築が難しくなります。
境界の確定も重要になり、確定測量図の提示が査定に影響します。
- 築年数
- 広さ、間取り
- 日照、眺望、通風
- 室内の設備
建物の状態や設備のメンテナンス状況、広さや間取り、日照や眺望など、さまざまな要素が査定額に影響します。
特に築年数は重要で、劣化の度合いが進んでいる場合は査定額が低くなります。
古い建物でもリフォーム済みの場合、新しい設備が導入されていると、査定で高く評価されることもあります。
その際は、リフォームの内容や時期をまとめておくと、査定の際に有利になります。
まとめ
一戸建ての売却には、事前の準備や手順、売却にかかる費用、最適な売却時期を理解することが大切です。
一般的に、一戸建てはマンションよりも売却が難しいとされています。そのため、複数の不動産会社に査定を依頼し、それぞれの条件を比較検討することが重要です。
複数社で見積もりを依頼することで、より条件の良い売却価格や効果的な販売戦略を見つけることができます。
しかし、戸建て売却は地域の特性によっても、売却価格や売却期間が異なることがあるので、地域に特化した不動産会社に依頼することもおすすめです。