狭い道路に面した京町家
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2025年1月 中京区

狭い道路に面した京町家

担当者からのコメント
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担当:宮川和秀
担当:宮川和秀
「家はボロボロなんで土地の値段だけになってくると思うんですが、隣とくっついてて、そこが空き家で所有者がつかめないので切り離しが出来ないんです。」という案件。
お隣の謄本をあげてみると、今ではあまり見かけることのない大昔によくあったような名前になっている。
売り出すべく境界確定の依頼を受けた土地家屋調査士が所有者を探索したが相続人を突き止められなかった為、致し方なく法務局の筆界特定制度を使いなんとか境界確定が出来たらしい。一年ほどかけて。
三条通商店街近くの軽自動車も入れない狭い道路に面した京町家。
セットバック後の正味は約15坪。
切り離し承諾が取れないということは解体工事が出来ないので町家好きのお客様にご紹介を重ねるしかない。ただ、老朽化が激しすぎてリフォーム費用が莫大にかかる為、一向に前向きな話を取り付けられない。平家で間取が弱い(少ない)というのもネックだった。
京町家専門関連会社数社に買取価格の提示をしてもらうが売主様の希望価格の3分の1にも満たない。
3か月間いい話はなく、なんとかしないといけないという思いから「切り離し特約なしで買いますよ。」と言ってくれるところはないものかと、建て売り系の関連会社数社に紹介するも、これも値段が伸びない。大半が売主様の希望価格の2分の1程度。
ただ一社だけズバ抜けた価格を提示してくれビックリした。売主様もその価格には驚き喜んだが切り離し承諾の問題が付きまとう。
「この物件は売りもんにならんな、、、」と諦めかけたが、この3か月間、売主様が何度か「この物件、解体して更地にしたら売れると思うんですよね。場所はいいし。勝手に解体しちゃいけないんですかね、、、」と仰っていたことを思い出し、思い切って「解体費用分ONした更地渡し契約」を提案してみた。
建売業者としては更地取得後の責任も心配し「承諾なしで勝手に解体することも、その後の責任も全て売主が持つ。」という合意書を交わし合うことが条件となる。売主様のリスクは大きい。
私としても「仲介業者としても責任は取れないので全てご自身で判断して下さい。」と全判断をゆだねた。
売主様は腹をくくり数日後契約し、先日解体工事も養生工事も完了し引き渡しを終えた。
年内には3階建新築が完成し新しい家族がここに住まうだろう。
売主様の決断があったればこそである。